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秋田駒ヶ岳〜乳頭山〜曲崎山〜松川温泉1泊2日 1日目
2010年9月30日(木)横浜駅を21:35発の高速バスに乗車
終着の田沢湖駅前には定刻で08:00到着予定だったが、実際には07:35に着いたので、予定より1本前の07:45発『乳頭温泉行き』バスに乗ることができた。(次は08:45発だった)ラッキーと思いつつ、本当なら駅前で食糧を調達しようと思っていたのだが、コンビニはなく、駅構内の建物に売店があるはずだったが、乗り遅れるといけないので今日1日は持ち合わせで良しとした。
バスには私の他に地元の女性が1名乗っただけだった。
田沢湖スキー場前で降車。¥530 思ったより近かった。
人影なし。爽やかなお天気だが、雲が沸いてきていた。
【1日目 コースタイム】田沢湖スキー場前バス停08:14→駐車スペース(ここで道迷い)08:54→水沢分岐10:10→男岳10:41/10:46→阿弥陀池10:56(ゆっくり写真)→秋田駒ヶ岳避難小屋11:02→男女岳11:09/11:12→秋田駒ヶ岳避難小屋11:18/11:30→焼森11:43/11:45→湯森山12:20→笊森山13:08/13:19→乳頭山13:59/14:09→田代平山荘14:23→蟹場分岐15:11/15:19→大釜温泉(乳頭温泉)15:39
田沢湖スキー場前のバス停から少し戻ると左へ広い舗装路が伸びており、そちらを登って行く。
思ったより近いところにこの標識があった。前ばかり見て登っていたので一度は通り過ぎてしまったが、何気なく振り返ったら運良く右手にこの標識が目に入った。
あれあれと、坂道を戻り林道へ入る。
なんとひどい林道で、こんな深い溝がグネグネと通っていたり、かなりの段差があちこちにあり、相当タイヤが大きい車でなければ走行は不能と思われた。この奥に駐車スペースが有ることにはなっているが、車が入った形跡は林道入口から100mもしない辺りで消えた。
ここも林道だ。
花で埋まってしまっている道の端の方を草を分けるように歩いた。
歩いて入る人も少ないのだろうか。はたまた別にショートカットルートがあるのかもしれない。 途中にそれらしきピンクリボンが下がっていたが、万が一間違えると大変なので、急がば回れで忠実に林道を辿った。
ここが駐車スペースだ。確かに10台以上がゆうゆうと置ける。でもあの林道ではここまで来られない
さて、ここから登山道に入るはずだが、どう見回しても標識もテープなどの目印も見当たらない。地図では沢に平行するように進行方向に進むはず…と思い、周囲に注意をしながら真っすぐに進むと踏み跡を発見 ちょっと怪しげではあったが、ここまでの林道を思えば、登山道もこの程度は有りかと思ってとりあえず進んでみた。しかし薮漕ぎというほどではないものの、どうもしっくりこない。多少間違えても、どこかで本ルートと合流すればいいし…とまたいい加減な考えにもなったが、沢に突き当たると踏み跡が3方向に薄くついていた。そこでこれは間違えた人達が右往左往した踏み跡のように思え、やっぱりもう一度駐車スペースに戻ることにした。ところが振り返ると来た道?踏み跡がわからない しょっぱなからヤバイ と一瞬冷や汗が出たが、1時間今日は得をしたのだから、焦らず無駄な動きはせずにゆっくり慎重に踏み跡や枝折れを探せば戻れると冷静になったら、来たルートらしき道を見つけることができた。ほっとした。
駐車スペースで登山道が見つけられなければ、バス停に戻り、乳頭温泉まで移動して、別ルートがとれるし、行程もいくらでも短くすることができるというのが今日の強みだった。
そして注意深く山側に沿って歩くと、駐車スペースの入口手前山側に今度は明瞭な踏み跡を見つけることができた。ゆっくり笹をかき分けて少しずつ登り振り返ると、外側からは全然見えないところにピンクのリボンが付いていた。ここが本ルートに間違いないと確信でき嬉しかった。反面、これだけ有名な山であり、林道入口にあれだけの標識があるのなら、登山口にも標識があってしかりだと思った。
登山道に入ると結構な急登が続く。
普通に歩けるところもあるが、かなりの割合で、笹を中心に、このような紫陽花も含め、登山道を埋めており、かき分けながら相当距離を登る。踏み跡は明瞭なので迷うことはない。
視界が開けると嬉しい。
沢が左手に低く流れている。
キノコが種類、数と色々あったが、正直いってあまりそれどころではなかった。
だんだん服は露で濡れて冷たくなるし、今更雨具を着るのもなんだし…と、そのまま笹をかき分け進む。
今日の行程は、標準コースタイムで10時間10分だ。休憩もとればそれなりに時間はかかる。
出発は9時近い上に、しょっぱなに道迷いをしているロスがあるので、決して・/span>裕があるわけではない。
一番歩きたいのは、秋田駒ヶ岳よりも乳頭山が本命なのだ。
何故かというと、宮崎アニメの『ハウルの動く城』に出てくる‘魔法の庭’が、この乳頭山への縦走路をモデルにしているというからだ。
笹の道が終わると展・/span>が開ける。
しかし山の上は雲が多く展・/span>がイマイチ。
だんだん色づき始める。
標高が上がるごとに紅葉が美しい
こういう景色に出会うと、少し前までの苦労が報われる。
水沢分岐点の様子。
残念ながら男岳への岩場の縦走路がガスで全然見えない。
近づくと結構カッコイイ岩なんだけど。
ガスがスゥーっと一瞬引くと、眼下には笹に包まれた斜面に紅葉した木々が鮮やかに見える。
次に見えたのは、女岳の裾なのだろうか、火山灰で黒く植物のない山肌だ。
少しでも男岳への縦走路‘五百羅漢’の雰囲気が出ているだろうか。
岩の風景がガスで写らない。残念だ
男岳 1623m 登頂。
ここで初めて人に会う。そしてここから横岳までは人が多い。とはいっても団体さんはいないので、時々パラパラ程度である。
ガスが晴れれば田沢湖や鳥海山、八甲田、岩手山などの大展・/span>が開けるはずだがご覧の通り、真っ白なのだ
ただ、雲が切れて行く気配は十分にある。しばらくそれを待つ人達もいたが、私は先の行程が長いので、ここは諦め早くに先へ進む。
男女岳が眼前にシルエットを現した。
下に一直線に横切っているのは木道だ。
そして眼下には阿弥陀池。
一番奥に秋田駒ヶ岳避難小屋が見えている。
阿弥陀池の至近まで降りてきたところ。
人が歩いてくる方向は、秋田駒ヶ岳に登るには一番近道の八合目から登るルートだ。
青空が広がってきたよー
池に映る空や雲ってどうしてキレイなんだろう。
秋田駒ヶ岳避難小屋と隣奥に公衆トイレ
人が利用中だったので中は見なかった。
山頂から見下ろす浄土平、焼森への稜線。
反対側には阿弥陀池。
男女岳を降りて、避難小屋前で腹ごしらえをしてから横岳へ向う。
横岳分岐から見下ろす。
もみじの紅が美しい。
バックは同様に焼森山。山頂ケルンが尖っている。
焼森から下って、次なる目的地は湯森山。
前方に見えている。
両脇笹に包まれているが、よく刈ってあり、道幅も広いので歩き易い。
ここが今日のルート上にある唯一の水場。
水はまあまあ流れているけれど、段差がないので汲むには一苦労。
持ち合わせが足りないわけではないが、せっかくなので持っているペットボトルを満タンにする。
暗い雲から白い雲に変わり、頭上には青空が広がる。陽射しが強い
秋田駒ヶ岳(男女岳〜横岳)を遠・/span>。
先ほどまで、あそこに居たのだ!
湯森山分岐。
エスケープをするならここで笹森山方面へ向い、八合目へ下山するか(約1時間)、乳頭温泉に下る(約2時間20分)ことができる。
湯森山山頂は、この分岐からちょっとだけ進むと標識あり。
湯森山からしばらく歩くと眼下には、これから歩く熊見平の湿原が見える。
あのベージュ色の草紅葉がそこである。湿原に到着。
湯森山分岐にザックが2つデポしてあり、その持ち主と思われるカップルがここを目指して?歩いていたが、横岳を過ぎてからというもの、他には擦れちがった1パーティ3名と、田代平山荘に居た1名以外、誰にも会わなかった。
湿原から見上げた所に‘宿岩’が見えてくる。象徴的な岩だ。
あの岩の左側を迂回するのがルートになっている。
花はほとんど見られないが、このリンドウだけは、今回の山行中あちらこちらで咲いていた。しかしそれも終わりに近い。
湿原ともそろそろお別れ。
標高がまた上がってきたところで来た道を振り返る。
なだらかで伸びやかな山容が、東北の山に来たことを実感させてくれる。
一番奥に頭が尖っているのが男女岳。
笊森山 1541m
疲れて寝ているわけではない。
標識が倒れていたので起こそうと思ったが重たくて無理
ならば一緒に寝てしまおう ってな感じ
笊森山に立つと、ついにしっかりとそれが‘乳頭山’(=烏帽子岳)と確認できた。
左上の山頂が岩っぽい感じの山だ。
ここからがいよいよ『魔法の庭』だ
静寂の中に鳥の囀り。
山肌は尾根や沢筋を沿うように笹に覆われなめらかに輝いている。
ところどころに広葉樹、針葉樹が景色の中で役割を果たし、池塘や湿原が自然の庭園となっている。
きっと人間の入らない世界には、こんな近い距離であっても様々な生物の営みがあるのだろう。
妖精もいそうだ。
ギリギリの境界線から眺めさせてもらっている気分だ。
乳頭山が左右になだらかな稜線を広げている。
…あのてっぺんが乳頭に似てる かなぁ?
左右に広がる美しい展・/span>を眺めながら気持ち良く進む。
乳頭山(烏帽子岳) 1477.5m
私の右手は切れ落ちている。
遠方に見えるは秋田駒ヶ岳(男女岳)。
遥々歩いてきたもんだ。
もいっちょ北西方向の展・/span>。
田代平山荘が点に見え、その奥には田代平湿原の草紅葉の広がりがわかる。
この風景の中にたった一人。なんとも贅沢だ。
田代平山荘。避難小屋だ。
前を通る時、2階の窓が開いたので中に人が居ることがわかった。中の様子を見てみたいと思い、挨拶をしながら入ったが、返事がない。どうも会いたくないようなので、写真だけ撮って通りすぎることにした。
内部もきれいだった。
小屋の目の前にはこのように池が広がる。
この場所、この小屋に泊まるのはいいなぁ。ここなら一人でもあまり怖くない気がする。
近くに住んでいたら、ここに泊まることを目的に来るのもいいだろう。最短、道路から1時間50分のコースタイムでこんな自然の宝庫へ来られるのだ。
星空など眺めるにも最高だろうな
先へ進むと田代平湿原が広がる。
‘ワレモコウ’
こちらも白い‘ワレモコウ’だろう。
赤、白と風に揺らいでいる。
田代平の湿原を過ぎるとあとは樹林帯へ突入。
このようにとても整備されている箇所と、笹ボウボウのところと出てくる。
蟹場分岐から乳頭温泉への道は、明朝夜明け前に登ろうと思っているルートなので確認するように下る。
土が滑りやすいものの、明瞭で歩き易い道でほっとした。
このまま真っすぐ降りると右手に蟹場ホテルらしき建物が見えてくるが、さらに真っすぐ降りると大釜温泉の目の前、道路へと飛び出す。
今日の宿泊場所だ。
実は明日のロングコースを14時までに松川温泉下山目標とした時に(バスの時刻と温泉に入る時間を考慮)、本当は『鶴の湯ホテル』に泊まりたかったのだ。そうすれば50分の短縮になる。
ところが満室で、結局次に都合が良いのがここ、『大釜温泉 』で、運良く1室のみ空いていた。この時期、平日にこんなに混むとは予想外だった。
早速温泉へ直行
薄緑がかった白濁の湯で、底には砂のような、苔のような感触があったが、よく触ったり考えるとちょっと不気味だったので、あまり気にしないことにした。
内湯はやや温めで、長湯に適した温度だ。
ここで十分に温まってから露天へ行く。
こちら露天で、入っている温泉はかなりぬるい。最初に入ってみたが、寒くてとても温まれる温度ではない。なので、内湯で長湯後に暑くなってきた頃に入ると気持ちがいい。
この隣に小さめの正方形の浴槽がもう一つあるが、こちらは熱すぎて入れない。
源泉はかなり熱いのだ。
入った時は貸し切り状態だったが、途中でなにやら添乗員さん風の女性が覗きに来たと思ったら、髪を洗っている最中にドヤドヤと大勢入ってきて、振り向くと内湯が満杯のようにギッシリになっており驚いた 20名近かったと思う。温泉巡りツアーなのか、男湯からも同様に賑やかな声がしてきた。しかし、身体を洗うわけでもなく、温泉に浸かるのが目的なようで、乳頭温泉全部を巡るのかはわからないが、あっという間にまた全員いなくなってしまった。
あの慌ただしさ。私には向かないなぁ。
夕食は食堂で。
鮎の一夜干しが柔らかくて、塩味もほどほどで、他の方も喜んで食べていた。
でも何より一番美味しかったのは、きりたんぽ。出汁と野菜が絶妙で、本当にすごーく美味しかった
それ以外は、かなり塩気が濃くて、お酒を飲む方にはいいのかもしれないが、私にはちょっと苦しかった。
でも、上記の2品で満足、十分だった。
1泊夕食+お弁当付き、8畳間、共同トイレ&洗面所で¥10650也
私にしては超贅沢な宿泊だった。
困ったことに売店といえるものがなく、明日の朝食、行動食が微妙となった。
朝食は食べずにお弁当を作ってもらえることになったが、どんなボリュームか不安と期待と
心地よい疲れでぐっすり眠る
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コメント
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ページを繰りながら、携帯 長編山岳小説 読んでるみたいで 結構面白いよ!(^^)v ♪ 今日、早起きして空を見たら、雲が凄くきれいだった。早朝の空の表情って‥、すごく いいな! これからも 早起き習慣つけよう♪(^-^)/
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携帯電話 だと、28ページにもなっちゃうのね
いつも長くてスミマセン それでも削りに削っているつもりなんだけれど
uttchiさん、記事を参考にしていただけたということをスゴく嬉しく思います
野口五郎小屋から水晶往復って結構距離がありそうですね。
お天気には恵まれましたか?お疲れ様でした。
国見温泉・・・東北はどこへ降りてもいい温泉 があるようでいいですね。
GPSは買ってはあるのですが、使いこなすことができずにいます
講習などがあれば参加したいところですが。
ブログを見ていただいてわかるように、こういうものに弱いです
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はじめまして
高瀬ダム〜野口五郎岳は9月の連休に行きましたが大変参考にさせて頂きました。
野口五郎小屋に泊まり水晶岳を往復でした。
秋田駒ケ岳は3年前の秋に、国見温泉から男岳・女岳を周回しました。
盛岡駅まで夜行バスで駅からレンタカーで移動でした。
田沢湖からは道がなく大変でしたね。こういう時GPSがあると便利ですよ。
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のりちゃんの筆による‥“草原の牧歌”♪風に揺れる、赤と白の吾も紅。草紅葉の絨毯、目に染みる黄葉、露天風呂、美味しそうな秋の味覚、と‥順調に読み進み、なんとしたことか 第一日目の記事、25頁から以降‥最後の28頁まで、ぼくの携帯 画面上のブログ記事が、空白の白紙状態になっております なにが起きたのだろう あと4頁で読み終わるところで、もうちょっとだったのに残念です ‥。 「 吾も紅‥ ベージュの記憶 焦がしけり 」
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「池に映る空や雲って どうしてキレイなんだろう」 どうしてなのでしょうね− ‥。ぼくも いつも それを思うが、水は 不思議な力を持っているとしか、言いようがないんだよね。 ‥ 記事は ゆっくり時間をかけて読み進めている。 二日かけて 読了する。
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秋田駒ヶ岳には、女岳もあるけれど、山頂に立てるのが『男岳』と『男女岳』だけなんだ。
秋田駒ヶ岳が百名山ではないということを最近まで知らなかったけれど、やはり想像通りに素晴らしい山域でした。
なだらかで伸びやかでいいよね〜。
熊見平は登山口から手軽に行ける距離ですよ。春から秋までずっとその季節の美しさを味わえるでしょうからお勧めです。
ひげじいが入ったのは‘妙乃湯’だね 一日乳頭温泉郷でゆっくりできれば、どこでも日帰り入浴ができるという共通チケットを売っていたよ。ちょっと興味があるな。
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秋田駒ケ岳=男女岳なんだ。男岳はあったけど女岳はなかったような。時が経つにつれて天候も良くなり、流石だね。
個人的には熊見平以降のなだらかな風景がいいなぁ。紅葉 も綺麗だしルンルン気分になっちゃういそう。
乳頭温泉郷 には十数年?前に行ったっけ。妙の湯?に泊ったのかな?大釜温泉は素通りしたっけ。蟹場温泉も入ったっけ。鶴の湯は人気があるからね。
あっ、これは1日目だね。2日目も楽しみだ
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長編山岳小説といえば‥ 新田次郎の傑作長編小説『孤高の人』を思い出す。のりちゃんは、さしずめ“女性版・孤高の人”みたいだな- ‥‥。 絶っっ対に、死ぬなよ。