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秋田駒ヶ岳〜乳頭山〜曲崎山〜松川温泉1泊2日 2日目
2010年10月2日(土) 大釜温泉を5時に出発する。
昨夜宿のご主人らしき人に、朝食は不要なので、その分としておにぎりを夜のうちに作っておいて頂きたいとお願いした時に、「5時出発 まだ暗いよ。松川温泉 …絶句」という反応だった。私としてはこの計画を止められることは困るし、何が問題なのかを聞きたかったのだが、ご主人は難しい顔をしただけでそれ以上は何も言わなかった。
朝5時に外へ出てみると、思ったより明るい。日の出は5時半過ぎではあるが、目が慣れればヘッドランプも不要だった。しかし、何が怖いって熊が怖い。早朝は特に熊の活動時間でもある。なのでライトを照らしながら、熊除け鈴 を鳴らしながら歩いた。今回持参した鈴は、かなり大きな音がするので心強い。
ようやく太陽
樹林帯にも陽が入り、気持ちも明るくなる。太陽の力は偉大なのだ。
今日のコースタイムは大釜温泉から松川温泉までで13時間45分。
この時間は大したことはないのだが、松川温泉から盛岡へ出るバスの時間の都合上、願わくば14時までに下山したい。最大に遅れても、16:15のバスに乗ることができなければ帰れない。盛岡までバスで約1時間50分かかるのだから、タクシー利用などとんでもないことだ。
今回は宿泊装備、混浴装備も念のため持参しているので、最近の山行と違って荷物が重い
松川温泉 にゆっくり入る時間が持てるように、1日頑張るのだ 楽しむのだ
【2日目 コースタイム】大釜温泉05:00→蟹場分岐05:33→鶴の湯分岐06:05/06:07→小白森山06:23→大白森06:54/07:00→大白森避難小屋07:23→大沢森08:14→曲崎山09:00→八瀬森避難小屋10:06/10:13→関東森10:34→P1283m湿原 11:13/11:23→関東森分岐12:12/12:17→大深岳12:30→源汰ヶ岳12:50/12:59→丸森川水場13:15/13:19→松川温泉バス停13:56 鶴の湯分岐を過ぎてから、湿原地帯に入る手前は木道が敷かれているが、両側からの笹がうっそうと生い茂っており、昨日に引き続きまたしてもビショ濡れとなる。
小森山 1144m
この標識の奥へ数メートル木道が敷かれており、展・/span>場所となっている。
こんな具合だ。
今朝は秋田駒ヶ岳がくっきりと見えている。
この時期開花している数少ない花達だが、今日もリンドウだけはあちらこちらで目を楽しませてくれた。
小白森からまたしばらく笹に覆われた木道を進み、ポーンと開けるとそこが大白森の湿原地帯だ。広大な面積の草紅葉とその中央を木道が一直線に続き、展・/span>も良く気持ちいい
大白森 1215.6m
標識のところは休憩ができるように、木道が三角形に敷かれていた。
ここまでの道のりで、笹のかき分けと、足元は木道のない湿原のようなズブズブの所も多く、こんなに泥だらけになってしまった
これが大釜温泉で作ってもらったお弁当
いつも山小屋で作ってもらうお弁当は内容はともあれボリュームがすごいのだが、やはり旅館?となると品が良くて量が少ない。今日は非常食としてパワージェル2つを持っているが、他には小さなチョコ1個とソリジョイ1本、飴が2つしかないので大切に少しずつ食べることにした。ここではおいなりさん1個と梅干し1個。
岩手山もうっすら朝もやの中に姿を見せている。
大白森の広大な湿原の後は樹林帯に入る。
しばらく道はぐずぐずで、いかに沼のようなところにハマらずに歩くかで、右へ左へ、真ん中の木や石の上を伝ったりと気を遣う。
大白森避難小屋 室内。
登山道から少し左へ入ったところに建っていた。
この辺りの避難小屋は皆同じ造りのようだ。そしてどこもキレイで泊まるにはいい環境だ。
1階には暖炉。
2階には毛布が多数干してある。
花の代わりにこうしが実達が足元に幾つもある。それぞれ似ているようでちょっと違う。
今日のルートはひじょーーに展・/span>のない樹林帯歩きが多い。
ブナの原生林だったり、シダやお化け水芭蕉、フキ、実に様々な植物があり、木漏れ日も気持ちが良い。
大沢森 1178m
ここを含め、これから出てくる山頂は皆樹林帯の中で、展・/span>なし。
キノコが色々。
食べられるのはあるのだろうか?
小さくて丸々しているのは可愛らしい。
一番派手なお化け水芭蕉とフキ地帯。
花の時期は可憐で美しいのだろうなぁ。
地図上に水場の印はないのだが、一帯が上の写真のように水芭蕉などが多く、そこを清水が流れていたのでちょっと味見。
まろやかさには欠けるが、ミネラル豊富といった味わいだった。
曲崎山へ登る途中に視界が開けるところがある。
写真中央の山の上がハゲているように見える。あそこが大白森の湿原だろう。
ご覧のようにあそこから、ずーっとこの森の中をひたすらに歩いてきたのだ。
この辺りはまだほとんど緑で紅葉には早い。
曲崎山 1333.8m
小広場になっているが、展・/span>はきかない。
山頂前後の方が視界はきく。
今日、初めて人に会った。
「このルートで人に会うとは思いませんでした 」と言われたが、こちらもそう思っていた。
1パーティ5名で、避難小屋に泊まりながら3泊の縦走をするらしい。キノコに詳しい人の指導のもと、採りながら歩き、夕食で食すというゆったりと自然満喫の楽しい山歩きをされている。実に羨ましい。
最後に握手を交わして反対方向へと別れた。
今日の行程の半分地点がこの‘曲崎山’である。ここを9時半までに通過できれば、下山14時目標もこのペースでOKと考えていたので、9時に到着できて気持ちが楽になった。
曲崎山から少し下った地点である。
やはりこちらの山々はまだ紅葉には早いようだ。
これからまた進行方向は樹林帯が長く続く。覚悟しなければ。
八瀬森山荘 避難小屋。
先ほどの小屋と内部はほぼ同様。
ルート上真ん前。
フキが周囲に多く自生していた。
八瀬森山荘の水場は1分程度下った場所にある。
水量がなかなか豊富で汲みやすい。
すぐのところが湿原地帯になっている。
これまでの湿原や草紅葉とはちょっと違う雰囲気だ。どちらかというと‘粗い’と表現したくなるような。
関東森 1154m
さすがに森の中ばかり歩いていると変化に乏しく、精神的に疲れてくるので自分で自分を盛り上げていく
関東森から次の湿原までの間は、地図にも示されている通り、倒木が多い
またいだり、ぐるっと回ったり、登ったり、踏んづけたりと、荷物を背負っていると体力を消耗する。
ヘトヘトになりつつあったが、突然こうして笹の払いが行なわれたばかりの形跡があり、ここから先は歩き易くなっていた。
コースタイムの基準ポイントである、
湿原の1283m地点。
いや〜〜疲れた ぐったり。
足が疲れたとか、体力的に疲れたとか、いやそれもあるのかもしれないが、気持ち的に疲れてしまった。
もう元気に歩く気力が途絶え、惰性で進むという感じになってきてしまう。
この先を歩きだしたところで、単独男性とすれ違う。その方はやたら元気そうで羨ましく思った。
樹林帯が終わり、太陽の陽射しを直接受ける登山道。
展・/span>が開けるとまた元気がジワジワ蘇ってくるように感じる。 行く先が見える、進んでいく過程がわかるというのはいいものだ。
今回山行最後の湿原地帯。
もう珍しさもなくなり、比較してしまえば他の湿原の方がキレイだったなぁなんて思うようになってしまった。いかん、いかん。
ここら辺の木々は高さがなくウネっていた。
豪雪地帯なのだろうか。
おお!景色が広がり続ける。
先の方に人の気配がある。
関東森分岐が近いことがわかった。
関東森分岐。
ここに単独3名の男性が休憩中であった。
直ぐに話しかけられ、こうして三脚を立てている時も話し掛けられ続けていた。
来た道、行く先を訊かれ、どうやら1人の人と同じ下山だった。
そしてひたすら話し掛けて来た方は地元の方で、東北の山域を毎日歩かれ、ガイド業をしている方だった。その方も途中の分岐までは同じルートということで、一緒に行きましょうと誘われる。2回ほど「バスの時間があるので…」「温泉に入りたいから…」とお断りしたのだが、「車で来ているから盛岡まで送りましょう。」とまで言われてしまった3回目には、断る理由もなくなり一緒に歩くことにした
見ず知らずの方と歩くことが嫌なわけではない。ただ、せっかく予定通りに下山できそうで、温泉もゆったり、バスにも最終より1本前に乗れる時間だっただけに渋ってしまった。
でもまあ疲れていることだし、人と歩くのも悪くないかと思い直す。
ここからは快適な道だった。
人が多く?入るということは、整備もされているし、展・/span>も良いわけだ。
3番目に続く。
三ツ石山を眺・/span>。
出会った誰もが、三ツ石山は良いという。
山頂に大きな石がボコッとある。
周辺は草紅葉、湿原に覆われているというわけだ。
私はまだ行ったことがないが、ここへ行くのなら、八幡平への縦走ルートで行きたいと思っているのだ。その時には藤七温泉 という楽しみもある。
藤七温泉は東北で一番標高の高い所にある温泉だそうだ。
源汰ヶ岳 1384m
ここが実質の山頂であるが、標識は少し下ったところに立てられていた。
眼下東側に松川温泉の噴煙が見える。
左手の白い大きな煙突みたいなところへ降りて行くのだ。
源汰ヶ岳から下山に入ると直ぐに樹林帯となる。
最初は急で岩がゴロゴロの道で歩きにくい。途中途中には土がグチャグチャしておりかなり滑る。
私が後方からピッタリついて歩くせいか、オジサンを慌てさせてしまったようだ。
4回も派手に・/span>ばれていた。怪我がなくて何より。
けれど、オジサンはとてもいいペースで歩いてくれたのだ。普通よりは相当速い。なので長距離を歩いてきた私には丁度いい具合だった。この方も東北の方で、このルートは何度も歩いているというベテランさんだった。 オジサンの足元に黒いパイプ?ホース?があるが、これもずっと下方まで続く。
途中から細い沢に沿って歩く。
地図に記されている水場(この写真の場所ではない)は豊かな流れで涸れることはないだろう。
舗装路へ下山した。
柵の向こうには、先ほど山頂から見下ろした時に煙を吐いていた白い大きな塔のような煙突があった。
松川温泉バス停に13:56到着だ。
オジサンがマイカー で「盛岡駅まで送りますよ。」と言って下さったが、15:25発のバスまでゆっくり温泉を楽しみたかったので、遠慮させていただいた。
とても気持ちのいい方で、有難かった。
松川温泉バス停前にあるのは、峡雲荘。
オジサンは松川荘に車を停めているということだったので、ここでお別れ。
私はそのまま峡雲荘で温泉 をいただくことにした。
入った時は混んでいたのだが、直ぐに空いたので、まずは内湯から撮影
こちらが露天だ。
温度といい、白濁の温泉といい申し分ない。湯の華、硫黄の香りが疲れた身体をじんわり癒してくれる。
混浴露天風呂の前に‘日本秘湯を守る会’のいつもながらの提灯があった。
混浴グッズは持参していたが、あまりに気持ちの良い温泉だったので、ゆっくり入り過ぎ、こちらに入っている時間はない。
それにチラ見すると男性だけ数人。
やっぱりこの明るさでは無理だ!
お風呂上がりには、南部せんべいアイスクリームが珍しいと購入。
盛岡へ向うバスの中でゆっくり食べる。美味しかった〜
ちなみにバスは市街地付近に入るまで、ガラガラだった。
松川温泉→盛岡駅で¥1110 2時間弱。
盛岡からは新幹線で東京へ。こちらもガラガラ。駅弁が美味しい
横須賀線も東京駅から・/span>裕で座れたのでとても楽ちんだった。マイカーだとこうはいかないもの。
お天気、行程、全て順調。今回は2ヶ所も有名どころの源泉掛け流し温泉を堪能することができた。ちょっと無理無理計画だったのは否めない。変化のない樹林帯歩きが延々と続くのは精神的に堪えた。しかし体力的には問題なかったので、今後はそういったルート内容も考えながらプランを立てたいと思う。
終わってみれば全ていい思い出。中でもやっぱり乳頭山付近の景観は群を抜いていた。秋田駒ヶ岳には、花の時期にまた訪れたいと思う。
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コメント
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塔ノ岳さん、いつもありがとう。
天気を読む力・・・ありません。ただ願いをかけるだけです。今回雨だったらこのコースは断念していたかもしれません。
東北の山にも興味はありますか?
知らない所に行くのは不安感と同時に、それ以上のワクワク感があります。
ご一緒したら邪魔になるのは私じゃないですか。強くなれればお誘いもしますけれど。。
栂海新道はいいですねー あの風景、ルートはかなり好みです。
秋の景色を楽しみにしていますね
ひげじい、今回は時間的には結構キツかったんです。
急登が長く続けば、自然とコースタイムは縮まるものですが、緩やかな傾斜故に、誰が歩いてもあまり差がつかないので、それを縮めるには頑張りが必要でした。荷物が重くて走ることはできないし、草をかき分けるのにも労力がいりました。
ただ、本当に緩やかな山なので、じっくりゆっくり味わうにはいい所ですよ。避難小屋が充実してきれいなのが有難いですね。
藤七温泉はまだ行ってないんです。紛らわしい書き方をしてしまいゴメンナサイ ちょっと訂正しておきました。
今度、三ツ石山から八幡平へ抜けるルートを歩く時に入りたい温泉と思っています。さて、いつになることやら。
URL:
コースタイム約14時間の所を休憩や写真を撮りながらで約9時間で走覇。考えられない。私には絶対無理だね。でも2日間とも写真で見る限り全体的に緩やかな感じがして時間はさておき私でも楽しんで歩けそうないいコースだと思う。
ところで終点の松川温泉の途中で藤七温泉 にも入ったの?う〜ん。凄い。実行力もまた凄い。
URL:
凄いですネ
企画力が凄いのと実行力も凄い!!
後、天気を読む力ですネ
10/2は北アルプス狙いましたが、7/31が伏線となり
自分なりに不安定と解釈して、またもや蛭ケ岳回数稼ぎとなりました
本当は行きたいのですが.....行かれませんネ
noriさんに一緒に連れて行ってもらいたいほどに、うらやましい山行です
知らない山を2日間、縦横無尽に踏破して天気もパーフェクトで素晴らしいです
お邪魔にならないようにしますので、来年は何処か連れて行って下さい
10/9は安曇野の杜氏さんに栂海新道へ連れて行ってもらいます
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変化に乏しいのは、耐えられない。ある意味、地獄だと思います。一日目は、山岳長編小説。二日目は、心理小説でした。行間を通して、ヒロインの人間臭い感情の起伏と、人間らしい心理のヒダとが、よ〜っく表れていて、いつもの記事とは ひと味違った読み応えがありました。山頂に到っては、いつものパワフルさを抑えた“よろめき”の魅力 お疲れさま